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ラジオ出演15回目 こどもの才能発見の方法──進路と将来の仕事の選び方 2回目/全3回

子どもの未来──こどもの才能発見の方法

厚生労働省の無料テスト・WISCで方向性を探す

この内容は、ラジオ番組『EVENING ECHOES』のコーナー【こころのいばしょ】 (まえばしCITYエフエム 84.5MHz) 放送日:2026.8.12 にて、石黒やちよが解説した内容をもとに制作しています。

■ オープニング

こんにちは。石黒やちよです。

今日は、才能発見シリーズの第2話。 テーマは 「子どもの未来──才能発見の具体的方法」 です。

前回の第1話では、 進路の話をする前にまず 自分の本音を探すために「心の安全基地」 が必要だというお話をしました。

では、心の安全基地が整ったあと、 どうやって「未来の方向性」を見つけていけばいいのでしょうか。

人の能力は多岐にわたり、例えばハワード・ガードナー氏の「多重知能理論」は知能を8項目にわけますが、日本の知能テストで計測できるのは5項目程度です。

知能だけではなく、それ以外にも多くの能力が人にはあります。

全てを正確に知ることは難しいですが、ヒントを得ることはできます。

今回ご紹介するのは

  • 厚生労働省の職業適性テスト(能力・価値観・興味) ※webで無料でできる
  • WISC(認知特性) ※有料ですが専門家が診断

この2つです。

■ 興味は「今の視点」での興味にすぎない

最初に、仕事選びでよく言われる「興味」についてお話ししたいと思います。

学校で「将来やりたい仕事は?」と質問されたとき、いくつかの知っている仕事の中から選ぶ人が多いと思いますが、本当にやりたいか、といわれたら、よくわからない、という人が多数派だと思います。

興味って、 “今の自分が見えている世界の中での興味” なんですよね。

子ども時代はまだ情報がすくないので、興味も当然しぼられてしまう。 そして興味は成長とともに変わります。

  • 10代で好きだったこと
  • 20代で好きだったこと
  • 30代で好きになったこと

全部違います。

だから、 興味最優先で仕事を決めるのは、個人的にはすこし危ういかなと感じます。

実際、仕事はやってみると 外から見える姿と、 中に入ってから見える姿が全然違います。

興味だけで選ぶと、 「思ってたのと違う」で辞めてしまうことが多いんです。

私は、SE・起業家・パソコンインストラクターとして働いてきましたが、 その中でたくさんの人が辞めていく姿を見てきました。

■ 「向いていない」のではなく、仕事の“形”と自分の“得意な形”がズレているだけ

ここで、少しだけ私の経験をお話ししたいと思います。

私はSEやパソコンインストラクターとして働いてきましたが、 その中で「興味はあるのに続けられなかった人」をたくさん見てきました。

それは、能力が低いとか、努力が足りないとかではなく、 仕事の“形”と、その人の“得意な形”がズレていただけなんです。

● 例①:パソコンインストラクターの現場で見た「形のズレ」

ある方は、 テキスト通りに丁寧に説明するのがとても得意でした。 順番通り、抜け漏れなく、正確に。

でも、隣に座っている生徒さんの表情が だんだん曇っていくのに気づけなかったんです。

悪気はまったくありません。 ただ「次はこれです」とテキストを一生懸命進めることに集中しすぎてしまう。

ご本人もつらそうで、 結局その人は職場を離れることになりました。

これは「向いてない」ではなく、

“手順を正確に進める力”は強いけれど、 “相手の理解度を見ながら調整する力”が必要な現場だった

というだけなんです。

● 例②:システムエンジニアの現場で見た「形のズレ」

別の方は、 指示されたことを正確に、丁寧にこなすのがとても得意でした。

でも「ここから顧客の要望をヒアリングして、ニーズを満たすシステムを設計してください」という場面になると、 急に手が止まってしまう。

何が正解か分からなくて混乱してしまうんです。

これも能力が低いわけではなく、

“決まった手順を正確にこなす力”は強いけれど、 “曖昧な状況で構造を読み解く力”がこの職種では必要だった

というだけ。

● 共通しているのは「優劣ではなく、形の不一致」

この2つの例に共通しているのは、

  • その人が悪いわけではない
  • 努力が足りないわけでもない
  • 能力が低いわけでもない

ただ、

仕事が要求する“形”と、その人の“得意な形”がズレていた

というだけなんです。

だからこそ、 仕事選びは興味よりも、 まず適性(能力)を知ることからはじめるのも手だと思います。

個人的にはもしやってみたい仕事が特になければ、 仕事選びの優先度は「能力 → 価値観 → 興味」と感じます。

■ 無料の厚生労働省のテストで「能力の輪郭」を知る

自分の能力を知るために心療内科などで受けられるテスト(WISC(ウィスク)やWAIS(ウェイス))がありますが、有料な上、心療内科に踏み込むのって勇気がいりますよね。

しかも自分の能力は自分で把握することがすごく難しい。

ここで役に立つのが、 厚生労働省の職業適性テスト(Gテスト)です。

「じーてすと」

で検索するとヒットします。

https://shigoto.mhlw.go.jp/User/GTest/Introduction/Part1

すごく良いのは無料でwebでいつでもできるということ。

時間は30分ほどです。

私自身も受けてみました。

メールアドレスでユーザー登録ができます。
ユーザー登録しておいたほうがあとで見直せるのでオススメです。

能力別に6項目のテストがあり、それぞれ制限時間が3~5分です。

結果から適性順にタイプが表示されます

たとえば私は適性1位は「マルチスキル型」、2位は「エンジニアリング型」でした。

興味がありそうなものをみつけてクリックしてみるとお仕事詳細がでてきます。

1位と2位の職業の中からまず見てみることをおすすめします。

ここで大事なのは、 Gテストは“能力の輪郭”を知るためのツールだということ。

子どもが「興味がわからない」「得意がわからない」と悩むとき、 まずは 能力の方向性を知り、その中から調べてみて、興味の方向性を探してみる。

こんな手順を踏むとお子さんも親御さんも将来がみえない不安をやわらげられると思います。

■ 価値観テスト──「ほんとはこうしたい」を知る

Gテスト以外にも価値観を診断するテストもあります。

https://shigoto.mhlw.go.jp/User/ExplainMyself/Step2

能力がわかったら、次は 仕事の価値観(大事にしたい働き方) を知ることが大切です。

たとえば、

  • 安定を大事にしたい
  • 人の役に立ちたい
  • 静かな環境で働きたい
  • クリエイティブな仕事がしたい
  • チームより一人で集中したい

こうした価値観は、 能力とは別の軸で進路を決める重要な材料になります。

能力が高くても、価値観と合わない仕事は続きません。 逆に、能力が普通でも、価値観と合う仕事は続きます。

だから、

能力 × 価値観

の掛け合わせで方向性が見えてきます。

■能力×価値観を組み合わせて適性のあう仕事を探してみる

結果を組み合わせて適職を検索することもできます。

自己診断ツールページの一番下に結果を組み合わせて適職を検索というボタンがあります。

能力×価値観からの組み合わせがマッチする順番に職業例が並びます。

■ 興味診断──「体験の入口」を見つけるために使う

そして、興味診断を“参考として”やってみるのも良いと思います。

興味は、今の自分が見えている世界の中での興味です。 子ども時代は世界が狭いので、興味も当然、狭い。

でも、興味診断で「今の興味」を知ることは、 体験の入口を見つけるヒントになります。

私自身は、興味・価値観・能力の全部にマルがつく職業はありませんでした。

実際に選んできた仕事も全部にマルがついた仕事ではありませんでした。

でも、全部にマルがつく人もいます。

自己診断テストは決定ではなく、ヒントを得るためのツールなんです。

これまで出た結果をもとにもし興味がわく職業があれば、

  • 似た仕事を調べる
  • お手伝いしてみる
  • ボランティアしてみる
  • 体験イベントに参加する

こうした 小さな体験 を積むことで、その仕事が自分にあっているかどうかが体験から見えてきます。

頭の中だけで仕事をイメージすると人は良い面だけみて、都合よく理想化しがちです。

私もアルバイトなどを通して、どんなに頑張っても失敗の連続で「向いてない!」と自他ともに認める職業も多かったです。(飲食業など…ドジすぎて迷惑をたくさんかけてしまいました)

実際にお話を聴いてみたり、youtubeを見てみたり、プチ体験、インターンシップ、オープンスクールなどを活用することで肌感覚で適性を見ていくことが大切と感じます。

■ WISC──「認知特性」を知る

最後に、 有料ですがしっかり分析してくれるWISC(認知特性)の紹介 です。

心療内科や小児科、発達外来などで実施される知能テストで、能力を数値化できます。

WISC(16歳以上はWAIS ウェイス)では、

  • 言語理解
  • 視覚認知
  • ワーキングメモリ
  • 処理速度

などがわかります。

これは「頭の良さ」ではなく、 脳の使い方のクセです。

たとえば、

  • 処理速度がゆっくり → じっくり型の仕事と相性が良い
  • 視覚認知が強い → デザイン・設計・空間系と相性が良い
  • 言語理解が強い → 教員・相談支援・法律系と相性が良い
  • ワーキングメモリが強い → 分析・研究・医療系と相性が良い

こうした特性は、 仕事のしやすさ に関わってきます。

群馬県は高校まで医療費無料なので、もし自分の特性に凹凸があるな…と苦しさや生きにくさを感じていればこども時代の内にWISCを受けて脳特性を掴むのもひとつの手です。

心療内科を受診するのは勇気がいる…という方には小児科でWISCが受けられる病院もあります。

https://www.pref.gunma.jp/page/2776.html(群馬県庁WEBサイト)

自分の取扱説明書を自分自身で把握しておくことは早ければ早いほど周りに協力を求める根拠にもなり、助けを求めやすくなります。

結果として、自分の人生を生きやすくしてくれる手助けになります。

■ 組み合わせると「未来の方向性」が見えてくる

これまで紹介してきた能力テスト

  • Gテスト(能力)
  • 価値観テスト(価値観)
  • 興味診断(体験の入口)
  • WISC(認知特性)※有料

これらを組み合わせると、 子どもの未来の方向性が 見えやすく なります。

たとえば、

  • 能力:空間認知が高い
  • 価値観:静かな環境で集中したい
  • 認知特性:視覚認知が強い

→ 設計・デザイン・研究・分析などと相性が良さそう。

または、

  • 能力:言語力が高い
  • 価値観:人の役に立ちたい
  • 認知特性:言語理解が強い

→ 教員・相談支援・福祉・法律系と相性が良さそう。

ただし、ここで一つだけ大事なことがあります。

これは「この仕事に決めよう」という結論ではありません。 あくまで “ここから覗いてみよう”という入口 です。

厚生労働省のサイトにもこの結果をあなたの実力の全てだと受け止めないようにしてくださいという趣旨の内容が書かれています。

適性は、子どもを型にはめるための道具ではなく、 可能性を広げるためのヒント として使ってほしいんです。

方向性が見えると心がラクになります。 未来が見えない不安は、 「方向性がわからない」ことが原因だからです。

■ まとめ

才能発見は、

心 → 能力 → 価値観 → 興味(参考)

の順番で進めると、 子どもの未来が自然と見えやすくなります。

そして、 体験を通じて興味が育っていくと、 子どもの心は本当にラクになります。

次回の第3話では、 親自身の安全基地の作り方 についてお話しします。

親が安全基地を持つと、 子どもも安全基地を持てるようになります。

今日も聞いてくださってありがとうございました。