小学校・中学校で知っておきたい不登校児の進路の話
📻 この内容は、2026年10月14日(水)ラジオ番組『EVENING ECHOES』のコーナー(まえばしCITYエフエム 84.5MHz)でお話しした内容をもとに制作しています。

はじめに
不登校になると、多くの保護者の方がこう感じます。
「この子の将来はどうなるんだろう」
高校は行けるのかな。
大学はどうなるのかな。
将来働けるのかな。
そんな不安から、どうしても目の前の「学校へ行く・行かない」に意識が集中してしまいます。
でも、まずお伝えしたいことがあります。
不登校になっても人生の選択肢は減りません。
私自身が息子の不登校を経験する中で大切にしてきたのは、
「学校へ戻すこと」ではなく、息子自身が将来、自分の意思で進路を選べる余白を残すこと。
今回は、小学校・中学校で知っておきたい進路についてお話しします。
人生のロードマップ

私は進路をこんなイメージで捉えています。
小学校
好き探し
↓
中学校
方向性探し
↓
高校
試してみる
↓
大学
深める
↓
社会人
何度でも変更できる
このロードマップを作った理由があります。
私は息子の人生を決めたかったわけではありません。
息子自身が将来、自分で人生を選べる状態を残したかったのです。
大切なのは、小学生や中学生で人生を決めることではありません。
その時点での方向性を見つけていくことです。
そして方向性は、何度変わっても大丈夫です。
小学校は「好き探し」
小学生のうちから、
「将来何になりたいの?」
「どこの高校へ行きたいの?」
を考える必要はありません。
それよりも、
- 何が好きかな
- 何をしている時が楽しそうかな
- どんな時に集中するかな
- どんな環境だと安心できるかな
を観察することが大切です。
例えば、
- マインクラフトで回路づくりばかりしている
- 生き物について何時間でも調べている
- 絵を描くのが大好き
- 人の話を聞くのが好き
そんな日常の中に、その子らしさのヒントがあります。
前回お話しした「才能発見シリーズ」ともつながる部分ですね。
普通級→支援級への移籍という選択肢

保護者の方からよく聞くのが、
支援級に入ると進路が狭まるのでは?
という不安です。
私自身も、息子が小学校の頃はそんなイメージを持っていました。
でも実際には、
支援級を活用することで選択肢が広がることもあります。
支援級のメリット①
先生との距離が近くなる
普通級では、先生1人に対して30人前後の生徒がいます。
一方で支援級では、先生1人が数名の生徒を担当するため、
- お子さんの特性
- 得意なこと
- 苦手なこと
- 学習の進め方
などを共有しやすくなります。
保護者との連携もしやすく、
お子さんに合わせた支援を行いやすいというメリットがあります。
支援級のメリット②
中学校を選べる可能性がある
実は我が家にとって一番大きかったのがこれでした。
公立小学校・公立中学校は、原則として住んでいる地域によって進学先が決まっています。
学区外の学校へ進学したい場合は、
- 区域外就学の申請
- 特別な事情の説明
- 場合によっては住民票の異動
などが必要になることがあります。
ところが、支援級に在籍している場合は、中学校進学前に複数の学校を見学し、お子さんに合った学校を選択できる仕組みがあります。
学校へ希望を伝えると、学校を通じて見学の調整をしていただけます。
そして実際に見学した上で、
「ここがいい」
と感じた学校を選ぶことができます。
我が家の場合
我が家でも複数の中学校を見学しました。
最初に見学した学校では、支援級の教室があまり良い環境とは言えませんでした。
日当たりが少なく、駐車場に近いため、車のライトが不規則に教室へ入り込むような場所でした。
一方で、別の学校ではまったく違いました。
支援級の教室が学校の中でもとても良い場所にあり、
- 静か
- 日当たりが良い
- 落ち着いて学べる
そんな環境が整っていました。
さらに先生方の特性理解も深く、
見学した息子自身が
「ここがいい」
と選びました。
結果として、我が家はその学校へ進学することができました。
今振り返っても、本当に良い選択だったと思っています。
支援級は「進路を閉ざす場所」ではない
もちろん制度の運用は自治体によって異なります。
ただ少なくとも私の経験から言えるのは、
支援級は進路を閉ざす場所ではなく、お子さんに合った環境を選ぶための選択肢になることもある
ということです。
私は息子を支援級に入れたかったわけではありません。
学校を決めたかったわけでもありません。
大切にしたかったのは、
息子自身が将来自分で選べる余白を残すこと。
そしてこの時、
中学校という人生最初の大きな選択を、息子自身が経験することができました。
制度を知ると選択肢は増える
我が家では、学校と相談しながら在宅学習による出席扱い制度を活用しました。
不登校になると、
「もう進路は難しいかもしれない」
と思ってしまいがちです。
でも実際には、
- 出席扱い制度
- 教育支援センター
- スクールカウンセラー
- スクールソーシャルワーカー
- 医療との連携
など、使える支援や制度があります。
私は不登校対応を通して、
制度を知ることは選択肢を増やすこと
だと感じています。
中学校は「方向性探し」
中学生になると、少しずつ将来の方向性を考え始めます。
ただし、ここでも人生を決める必要はありません。
前回の才能発見シリーズでお話しした
- 能力
- 価値観
- 興味
- 認知特性
を参考にしながら、
「どんなことに興味があるかな?」
を探していきます。
例えば、
- 機械や仕組みが好き
- 生き物や自然が好き
- 人の相談に乗るのが好き
- 文章を書くのが好き
そんな様子から、
「理系寄りかな」
「文系寄りかな」
という方向性が見えてきます。
ここで大切なのは、
文系・理系を決定することではなく、仮説を立てること。
あとから変更してもまったく問題ありません。
「先生に嫌われたら高校に行けない」の誤解

不登校のご家庭からよく聞く不安があります。
「先生に嫌われたら高校進学に不利になるんじゃないですか?」
というものです。
私自身も、息子が不登校だった頃はとても気になっていました。
実際の高校入試では、調査書という資料が高校へ提出されます。
そこには成績や学校生活の記録、委員会活動や学校行事などの記録が記載されています。
また、欠席日数が多い場合には、事情や思いを高校側へ伝えるための「自己申告書」という仕組みも用意されています。
つまり、
「先生に嫌われたら人生終了」ではありません。
もちろん学校生活の記録は大切ですが、高校入試は先生との相性だけで決まるものではありません。
私は不登校対応を通して、
「不安や噂」よりも「制度や事実」を知ることが大切
だと感じています。
保護者が制度を知れば知るほど、お子さんの選択肢は増えていきます。
今回のまとめ
✅ 不登校になっても人生の選択肢は減らない
✅ 小学校は「好き探し」
✅ 中学校は「方向性探し」
✅ 支援級は選択肢を広げることもある
✅ 制度を知ることで選択肢は増える
✅ 人生は何度でも方向転換できる
次回予告
次回は
不登校になっても人生の選択肢は減らない②
高校・大学・社会人で知っておきたい進路の話
をお届けします。
- 通信制高校という選択肢
- 総合型選抜(旧AO入試)
- 大学編入
- 学び直し
- 社会人になってからの進路変更
など、
「人生は一本道ではない」
というお話をしていきたいと思います。
補足(※ラジオではお話しないWebだけの内容)|長期欠席があっても高校進学の道はあります
不登校の保護者の方から、
「欠席日数が多いと高校受験は不利になるのでは?」
というご質問をいただくことがあります。
群馬県では、長期欠席のある生徒に配慮した制度が用意されています。
長期欠席者への配慮制度
群馬県教育委員会が毎年公表している「群馬県公立高等学校入学者選抜要項」では、長期欠席者等への配慮について定められています。
一般的には、年間30日以上の欠席がある生徒を対象として、
- 欠席に至った事情
- 当時の状況
- 高校進学への意欲
- 中学校卒業後の希望
などを伝えるための書類を提出できる仕組みがあります。
年度によって名称は異なりますが、
- 自己申告書
- 長期欠席理由書
- 事情説明書
などの形で運用されています。
これは調査書(内申書)とは別に、自分の状況を高校へ伝えるための制度です。
制度の背景
文部科学省は全国の都道府県教育委員会に対して、
不登校生徒が調査書の出欠記録などによって不当に不利な扱いを受けないよう配慮すること
を求めています。
そのため、
「欠席日数が多い=自動的に不合格」
という制度にはなっていません。
群馬県の最新動向
さらに、群馬県教育委員会は令和9年度(2027年度)入学者選抜から、
調査書の「出欠席の記録」を削除する方針
を公表しています。 (上毛新聞 2026.6)
また、公立高校入試では受験生全員が提出する「インタビューシート」があり、
- やむを得ない事情による欠席
- 高校へ伝えたいこと
- 自身の状況や思い
などを記載することができます。 [reo.co.jp]
そして、
記載の有無や内容によって不利になることはない
と案内されています。 [reo.co.jp]
保護者の方へ
制度は毎年少しずつ見直しが行われています。
最新の情報については、
中学校の担任の先生や進路指導の先生に
「長期欠席者への配慮制度について教えてください」
と相談してみてください。
使える制度を知ることは、お子さんの選択肢を守ることにつながります。
私自身も不登校を経験する中で、
「制度を知ることは選択肢を増やすこと」
だと実感しています。