この内容は、ラジオ番組『EVENING ECHOES』のコーナー【こころのいばしょ】(まえばしCITYエフエム 84.5MHz)放送日:2026.3.11 にて、石黒やちよが解説した内容をもとに制作しています。
オープニング
不登校に直面したとき、多くの親御さんは自分を責めてしまいます。
「私の育て方が悪かったのか」
「もっと優しくできていたら…」
そんなふうに、出口のない道を一人で歩き続けてしまうことがあります。
今日は、不登校という現象の奥にある「根本的な構造」と、知らず知らずのうちに私たちを苦しめている「愛着不全」についてお話しします。
これを読むことで、
「ああ、こどものせいでも、私のせいでもなかったんだ」
と、少しでも心が軽くなるように。
不登校の根本原因=少数派の性質
これまでの記事でもお伝えしてきたように、
不登校の背景には 生まれつきの性質が“少数派であること” が関係しています。
これは、性格でも、甘えでも、育て方の問題でもありません。
子どもたちは、生まれつきそれぞれ違った性質を持っています。
感覚の敏感さ、脳の特性、得意、不得意分野など。
その性質が学校という環境と合わないと、
どうしても疲れやすかったり、消耗しやすかったりします。
ただ、生まれつきの性質が、学校という環境と合いにくかっただけ。
それだけのことなんです。
“心の回復” に影響する「愛着」とは
生まれつきの性質とは別に、
不登校になったときの “回復のしやすさ” に影響する
心の土台があります。
それが 「愛着」 です。
「生まれつきの性質」と「愛着の不形成」
この2つが重なることで、同じ性質でも、
- どれくらい苦しくなるか
- どれくらい回復しやすいか
が変わってきます。
愛着とは?
愛着とはなんでしょうか。
愛着=愛情ではありません。
愛着=「本人にとって安心できる安全基地を得られたかどうか」
愛着とは、目に見えない“心の安全基地”です。
愛着は、幼い頃に身近な大人からどんな関わりを受けたかによって変わります。
愛着はどうつくられるの?
愛着は3歳ころまでに形成されます。
- 赤ちゃん期に不安を泣き声で表現すると親が助けてくれる(安全基地の獲得)
- 3歳ころまでに子どもの感情を親が言語化してくれる(ミラーリング)
- 親が安定していて一貫した対応をし、子が安心できる
上記を通して子は安心の中で自分が親にとって価値がある存在であることを知り、自己肯定感を獲得します。
また自分の感情にラベルを付けることができ、それを自覚したり対応する起点を獲得します。
安定した関わりを受けた人は
→「自分は大丈夫」という感覚が自然に育ち、自己肯定感、心に安全基地を持ちます
【安定愛着】※全体の7割
関わりが不安定だった人は
→「自分には価値がない」「人に相談しにくい」という感覚が残りやすい
【愛着不全】※全体の3割
これは性格ではなく、
環境によって形成される「心の癖」です。
保護者、本人が自分を責めない為に知っておきたいこと
「自分の育て方が悪かったのでは?」
「僕の性格のせいで学校に行けないのかな…」
そう思ってしまう保護者、お子さんはとても多いです。
でも、あなたやお子さんが今感じている苦しさは、
あなたのせいではありません。
- 生まれつきの性質
- 愛着(幼い頃の環境)※世代間連鎖
この2つが重なって、今の“苦しさの形”ができています。
そしてこれは、あなたの親のせいだけでもありません。
親もまた、その親から同じ関わり方をされていて、連鎖を受け取っていたからです。
誰かが悪いのではなく
ただ、苦しさの連鎖が続いてきただけ。
安定愛着の人は「目の前の人が自己肯定感を持っていない可能性」に気づきにくい
友達や親せきなど周囲に相談しても
「気にしすぎ」「嫌なら言えばいいじゃん」「もっと前向きにならないと」
という回答が返ってきて理解されず、孤立感が増すことがあります。
安定愛着を持っている7割の人は当たり前のように自己肯定感を持っているので、
3割の人が自己肯定感を持っていない可能性がある、という視点を持つことが難しいのです。
愛着とは、目に見えない“心の安全基地”です。
安定愛着の人は、当たり前に自己肯定感という安全基地を持っていて、その土台の上で安定したコミュニケーションを無意識にとることができます。
愛着不全の人は、その安全基地が最初からなく、さらに3割という少数派の為、
理解されにくく、結果として自分を責めやすく、苦しさから抜け出しにくいのです。
愛着不全の原因
愛着が形成されなかったパターンを愛着不全といいます。
特徴は
・コミュニケーションが不安定
・心理状態が不安定
・感情を自覚しにくい
・自分軸がもてない
・自己肯定感がもてない
・自分を大切にできず「嫌」が言えない
・他者の顔色を窺いがち
などがあります。
愛着不全の原因となるもの(※原因は世代間連鎖)
- 親から子への関心のなさ
- 虐待(身体・心)
- 親のメンタルの不安定さ
- 過干渉
- 親の価値観の押しつけ
愛着不全となるポイントはこどもにとって安心できる安全基地がなかった、ということです。
親も子も、自分の性格や努力不足として責めがちですが、
愛着不全も愛着不全の原因となるかかわり方も
世代間連鎖の環境によってつくられた「心の癖」です。
性格ではなく「安心して戻れる場所、安心して外へ踏み出せる安全基地(環境)がなかった」のです。
愛着は大人になってからでも獲得できる
愛着は幼少期に形成されますが、
大人になってから獲得することもできます。
これを 「獲得型安定愛着(Earned Secure)」 と呼びます。
研究でも、
- 自分の過去を理解する(カウンセリング・ジャーナリング)
- 感情を整理する(感情のラベリング)
- 安心できる他者との関係を持つ(安全基地の獲得)
こうしたプロセスを通じて3割の人が愛着の土台が再構築されることが確認されています。
支援なしで愛着不全の人が安定愛着を得られる確率は1%です。
だからこそ、
安心できる誰かとつながることが、回復の一歩目になる のです。
支援につながることは回復の第一歩
支援者や安心できる他者との関係は、
“安全基地”の役割を果たします。
- 自分の気持ちを整理できる
- 過去の出来事を言葉にできる
- 自分を責める癖に気づける
- 境界線を学べる
- 人との関係が少しずつ楽になる
こうした変化が積み重なることで、
愛着の土台はゆっくりと、でも確実に変わっていきます。
支援につながることは、
弱さではなく「回復のスイッチを入れる行為」 です。
自助・共助・公助の内の「公助」を活用して「自助」につなげていく。
愛着不全の人が相談することは、とてもハードルが高いです。(心に安全基地がないため)
私自身も愛着不全の環境で育ち、
こどもの不登校へのあたたかな支援を通して、
こどもだけではなく私もヒントを多くいただきました。
最初はメールやLINEからでも良いので、
誰かに話を聴いてもらう、
聞いてもらいながら自分の心の重い荷物をすこしおろしていく。
「回復の第一歩」としてまずは親からチャレンジしてみる。
そこからスタートしてみても良いのではと思います。
私もこどもとチャレンジしている最中ですが
みなさまがありのままの自分でいられる心の居場所、安全基地を見つけられること
私も願っています。
群馬県【メール・LINE】OKな相談窓口
こどもホットライン24
https://www.pref.gunma.jp/page/4183.html
※群馬県にお住まいの18歳未満の子どもや保護者が対象
群馬県の相談窓口一覧(こども家庭庁)
https://www.cfa.go.jp/children-inquiries/gunma
※参考文献(APAスタイル)
① 不登校の背景にある「生まれつきの性質(発達特性)」
Takata, J., Uchino, T., Isobe, N., Kojima, N., Nihonmatsu, M., Okamoto, Y., Miyake, Y., Jinnin, R., Yashiki, H., & Yoshihara, M. (2015). Relationship between developmental disabilities and school avoidance tendencies in university students. Sogo Hoken Kagaku, 31, 27–33.
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② 愛着と「しんどさの強さ」、そして獲得型安定愛着(Earned Secure)
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